〔NY石油〕WTI続伸、61.02ドル=週間では4.68%高(9日) 2025年05月10日 05時01分

 【ニューヨーク時事】週末9日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中の貿易摩擦緩和への期待を背景に、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比1.11ドル(1.85%)高の1バレル=61.02ドルだった。週間では4.68%高。7月物は1.06ドル高の60.58ドル。
 スイスで週末に開かれる米中高官による通商協議を前に、トランプ大統領は「対中関税は80%が正しそうだ」との見解を表明。協議の結果次第で追加関税を大きく引き下げる考えを示唆した。石油消費大国である米中の貿易摩擦が和らぐとの楽観的な見方が広がる中、需要見通しへの過度な懸念が後退し、原油は買いが先行。中国の4月の貿易統計が市場予想ほど悪化しなかったことも相場を支援した。
 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による6月以降の増産継続を受け、市場ではこのところ供給過剰への警戒感が高まっていた。ただ、ロイター通信が8日公表した調査結果では、4月のOPECの原油生産が日量2660万バレルと3月から同3万バレル減少したことが示されたため、強材料視された面もある。
 一方、調査会社エンベラスによると、米最大の産油州であるテキサス州の4月の石油・ガス掘削許可申請件数が約4年ぶりの低水準まで落ち込んだ。OPEC増産などを受け原油価格の下落が続くとの見通しが背景という。米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが9日公表した最新週の国内石油・ガスの掘削リグ稼働数は1月以来の低水準となった。
 ▽ガソリン=続伸。中心限月6月物の清算値は2.30セント高の1ガロン=210.84セント。 ▽ヒーティングオイル=続伸。6月物の清算値は2.64セント高の1ガロン=206.64セント。

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