36兆円超の国防予算承認=序列3位趙氏、「感染症」で欠席―中国全人代が閉幕 2025年03月11日 05時48分

【北京時事】中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が11日、閉幕した。今年の経済成長率目標を「5%前後」とする政府活動報告や、前年比7.2%増の国防予算(1兆7846億元=約36兆2000億円)を含む2025年予算案などを承認した。今年も成長率目標を上回る国防予算の伸びを確保し、習近平国家主席が主導する軍拡路線の継続を鮮明にした。
閉幕式では、共産党序列3位の趙楽際・全人代常務委員長(国会議長)が「呼吸器の感染症」を理由に欠席した。全人代委員長の閉幕式欠席は異例。
趙氏に代わり議事を進行した李鴻忠副委員長は「習同志を中心とする党中央の周りで緊密に団結しよう」と呼び掛けた。議案はいずれも圧倒的な賛成多数で可決された。ただ、反対・棄権票もあった。出席した2884人の代表による採決で、予算案は反対17票、棄権10票、最高人民法院(最高裁)の活動報告は反対31票、棄権12票だった。
政府活動報告では、成長率目標を3年連続で「5%前後」に設定。景気低迷が続く中、トランプ米政権が発動した対中追加関税の影響で外需の落ち込みが懸念されている。習政権は、内需拡大で景気の下支えを図る方針だ。
一方、国防予算の具体的な使途は不明。研究開発費などが含まれておらず、実態を反映していないとみられている。呉謙国防省報道官は9日、国防予算について「新たな領域や新たな質の作戦能力の発展」に重点を置くと説明した。呉氏はまた、台湾問題に関し「『独立』分子が騒げば騒ぐほど、頭上の剣は鋭くなる」と述べ、台湾の頼清徳政権に対する軍事的威圧を強める姿勢を示した。
全人代は5日に開幕した。コロナ禍の前は10日間程度だった会期は短縮され、今年は昨年に続き7日間だった。昨年から首相の記者会見も取りやめになった。
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