成長率目標「5%前後」据え置き=国防費は7.2%増―景気低迷でも軍拡継続・中国全人代 2025年03月05日

 【北京時事】中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕した。李強首相は政府活動報告で、今年の経済成長率目標を「5%前後」に据え置くと表明した。国防費は前年比7.2%増で、景気低迷が続く中でも、習近平国家主席が主導してきた軍拡路線の継続を鮮明にした。会議は11日に閉幕する。
 成長率目標を5%前後とするのは、3年連続だ。景気回復が遅れる中、トランプ米政権の対中追加関税で先行き不透明感は強まっている。目標の引き下げは、市場や国民の心理悪化につながると判断したもようだ。
 活動報告では、財政赤字を国内総生産(GDP)比で「4%前後」に拡大させることを明記。超長期特別国債も前年より3000億元(約6兆2000億円)増やし、1兆3000億元(約26兆8000億円)とする。財政出動を通じて内需刺激を図る方針だが、景気浮揚につながるかは見通せない。
 一方、国防予算は3年連続で7.2%増と成長率を上回る高い伸びを維持した。予算額は1兆7846億元(約36兆8000億円)で、日本の25年度防衛予算案(8兆6691億円)の約4.2倍の規模となる。
 習政権は「世界一流の軍隊建設」を目指し、最新兵器の配備を急いでいる。3隻目となる空母「福建」は今年前半にも就役する見通し。昨年12月には、無人機を搭載する大型の新型強襲揚陸艦「076型」が進水したほか、ステルス性能の高い「第6世代」とされる戦闘機の初飛行も行ったとみられる。
 核戦力も急速に拡大させている。米国防総省は、昨年半ば時点の中国の核弾頭保有数が前年比100発増の600発を超えたと推定している。
 しかし、軍では汚職による高官の摘発が相次いでおり、規律強化が課題だ。李首相は5日の活動報告で、「習近平強軍思想を深く貫徹する」と強調。さらに「政治教育と訓練の結合」を訴えた。
 また、李首相は外交政策について、中国への圧力を強めるトランプ政権を念頭に、「あらゆる形の一国主義、保護主義に反対する」と表明した。 

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中国の習近平国家主席=4日、北京(AFP時事)
中国の習近平国家主席=4日、北京(AFP時事)
5日、北京で開幕した中国全国人民代表大会(全人代)で、政府活動報告を読み上げる李強首相(EPA時事)
5日、北京で開幕した中国全国人民代表大会(全人代)で、政府活動報告を読み上げる李強首相(EPA時事)
5日、北京の人民大会堂で会話を交わす中国の習近平国家主席(左)と李強首相(AFP時事)
5日、北京の人民大会堂で会話を交わす中国の習近平国家主席(左)と李強首相(AFP時事)
5日、北京の人民大会堂で、中国全国人民代表大会(全人代)開幕式に臨む代表団(AFP時事)
5日、北京の人民大会堂で、中国全国人民代表大会(全人代)開幕式に臨む代表団(AFP時事)

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