調整は進んだ
第一生命経済研究所主席エコノミスト藤代宏一氏 2025年03月12日 15時16分
最近の株価下落により、調整はかなり進んだと言える。株価収益率(PER)も低下した。一方、株価が下落する中でも1株当たり利益(EPS)は下がっていない。企業の株主還元姿勢は続いており、今後も自社株買いなど前向きな発表が出るのではないか。株式相場がこのまま弱い雰囲気で3月期の決算発表シーズンを迎えることはないだろう。
今年の春闘も高い賃上げ率になりそうだ。賃上げが2年連続程度では、消費者は「偶然で一過性のできごと」と見なしやすい。しかし今年、3年連続の賃上げとなって、一過性という見方が外れると、所得増の持続性に懐疑的だった消費者の姿勢も変わり、名目消費が伸びて株価にプラスに働く。
ただ、日経平均株価は大きく水準が切り下がっており、4万円回復には少し時間が必要かもしれない。長期金利上昇は株価に影響するかもしれず、注意は必要だ。