〔NY石油〕WTI3日続伸、61.95ドル=2週間ぶり高値(12日) 2025年05月13日 05時17分
【ニューヨーク時事】週明け12日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中両国が関税大幅引き下げで合意したことを背景に買われ、3営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は、前週末清算値(終値に相当)比0.93ドル(1.52%)高の1バレル=61.95ドルとなった。これは中心限月の清算値ベースで4月下旬以来、2週間ぶりの高値水準。7月物は0.98ドル高の61.56ドル。
ベセント米財務長官は12日、スイスのジュネーブで会見し、「米中双方が関税を115%引き下げる」と発表した。期間は90日間。米中は経済・貿易に関する協議の枠組みを新設し、米中双方が互いに100%超の高関税をかけ合い、事実上の禁輸となった状態は当面解消される見通しとなった。米中の貿易摩擦緩和に向けた動きが好感され、世界的な景気悪化やそれに伴うエネルギー需要減速などに対する過度の警戒感が後退。原油買いが先行し、相場は早朝、一時63ドル台まで上昇した。
ただ、買い一巡後は、利益確定や持ち高調整の売りにじりじりと上げ幅を縮小。米中貿易協議の先行き不透明感や地政学リスクの後退、主要産油国の増産による供給過剰への警戒感も相場の重し。トランプ米大統領は12日、ホワイトハウスで記者会見し、ロシアとウクライナの停戦に向けた直接協議に自ら出席する可能性を示唆。トルコ・イスタンブールで15日開催される予定の協議が進展すれば、対ロシア制裁が緩和され、同国産原油の輸出が拡大するとの観測がくすぶっている。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」による6月以降の増産継続方針も注目されている。
▽ガソリン=3営業日続伸。中心限月6月物の清算値は2.47セント高の1ガロン=213.31セント。
▽ヒーティングオイル=3営業日続伸。中心限月6月物の清算値は4.47セント高の1ガロン=211.11セント。