〔NY金〕続落、3306.00ドル(8日) 2025年05月09日 07時20分
【ニューヨーク時事】8日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、安全資産としての金需要が後退する中、続落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比85.90ドル(2.53%)安の1オンス=3306.00ドル。
トランプ米大統領は8日、英国との貿易交渉で合意したと発表。米国は英国への10%の相互関税は維持するものの、英国製自動車への関税を大幅に引き下げ、鉄鋼、アルミニウムは撤廃する。一方、英国は牛肉など農産物や産業用機械などの市場を開放する。トランプ政権が大半の貿易相手国に対する関税政策を表明して以降、初の合意。米国は日本やインド、韓国、ベトナムなどとも協議を進めている。これを受け、世界的な通商摩擦が緩和するとの期待が広がり、安全資産としての金需要が後退。金は売りにさられた。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は7日まで開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続で政策金利の据え置きを決定。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で金融政策の変更を「急ぐ必要はない」と強調した。早期利下げ観測が後退する中、この日は米長期金利の指標である10年債利回りが上昇。金利を生まない資産である金の投資妙味が薄れたことも、相場の下押し要因となった。
ニューヨーク連邦準備銀行が午前発表した4月の消費者調査によると、1年先の期待インフレ率が3.63%と、3カ月連続で上昇したことも相場の重し。
一方、ロイター通信は関係筋の話として、中国人民銀行(中央銀行)が前月に金輸入枠を拡大し、支払いのため、一部の商業銀行のドル購入を認めたと報じた。