タクシン元首相に無罪=不敬罪巡り「証拠不十分」―タイ 2025年08月22日 13時00分

22日、バンコクの刑事裁判所を後にするタイのタクシン元首相(中央)(AFP時事)
22日、バンコクの刑事裁判所を後にするタイのタクシン元首相(中央)(AFP時事)

 【バンコク時事】タイの首都バンコクの刑事裁判所は22日、王室に対する不敬罪に問われたタクシン元首相(76)に無罪を言い渡した。有罪の場合は、タクシン氏の政治的影響力が大幅に低下する可能性があるとみられていた。裁判所は「検察が提出した証拠は有罪とするのに不十分だ」と説明した。
 弁護士によると、タクシン氏は判決時に笑顔を見せ、安心した様子だったという。今後、検察は1カ月以内に控訴するか判断する。
 タクシン氏は最大与党・タイ貢献党の事実上のオーナーで、ペートンタン首相(39)=職務停止中=の父。国外逃亡中の2015年に韓国でのインタビューで、タクシン派政権が倒された14年のクーデターに関連して王室を侮辱する発言をしたとして起訴された。
 貢献党のプームタム首相代行は「裁判所は事実に基づいて判断した。政治とは無関係だ」と強調した。
 タクシン氏を巡っては、23年の帰国後に公権力乱用罪などで実刑判決を受けながら刑務所での収容生活を送らずに病院に入院し続けた点も問題となり、最高裁判所が9月9日に判決を言い渡す。カンボジアとの国境紛争でタイ軍を批判する発言などをしたペートンタン氏についても憲法裁判所が失職の可否を今月29日に示す方針で、地元メディアは「一連の裁判所の判決は今後のタイ政治の転換点となり得る」と指摘している。 

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