米中首脳、対面実現は不透明=習氏は「メンツ重視」 2025年06月06日 16時54分

トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2017年4月、米南部フロリダ州(AFP時事)
トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2017年4月、米南部フロリダ州(AFP時事)

 【北京時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は電話会談で互いを自国に招待し、対面での会談実現に意欲を見せた。ただ、貿易交渉が難航する可能性もあり、「大国」としてのメンツを極度に重視する習氏が早期の会談に応じるかは不透明だ。
 トランプ氏は政権1期目の2017年4月、就任から3カ月足らずで米南部フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」に習氏を招いた。同年11月には中国を訪問している。トランプ氏は第2次政権発足に当たっても「100日以内の訪中」に意欲を見せていたが、実際には電話会談の実現までに4カ月半を要した。
 背景には、トランプ氏が1期目を上回るスピード感で対中追加関税を連発し、中国側が態度を硬化させたことに加え、同氏の各国首脳に対する予測不可能な言動があるとみられる。
 中国外交に詳しい北京の知識人は「習氏は、2月にホワイトハウスでトランプ氏と口論になったゼレンスキー・ウクライナ大統領の二の舞いになるのを恐れている」と指摘する。トランプ氏は5月に南アフリカのラマポーザ大統領と会った際も、南アでの「白人迫害」の証拠と称する資料を提示し非難。ラマポーザ氏がその場で反論する異例の事態となった。
 習氏の公の場での発言は事前に綿密に調整される。台湾やチベットといった敏感な問題に関して、記者団の前で想定外の発言を投げ掛けられれば、面目は丸つぶれになりかねない。習氏には、トランプ氏の前回訪中時に故宮を貸し切って歓待したにもかかわらず、その後に貿易戦争を仕掛けられた苦い記憶もありそうだ。
 今秋には南アで20カ国・地域首脳会議(G20サミット)、韓国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催され、両首脳が顔を合わせる可能性もある。中国側は対面会談について、今後の協議の進展やトランプ氏の出方をうかがいつつ慎重に判断していくとみられる。 

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