貿易交渉、続く難路=米中、対立「解消」を演出 2025年06月06日 14時58分

トランプ米大統領(右)と習近平中国国家主席(AFP時事)
トランプ米大統領(右)と習近平中国国家主席(AFP時事)

 【ワシントン、北京時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は5日の電話会談で、通商問題を話し合う閣僚級協議の早期開催で一致した。高関税のかけ合いで深刻化した対立の「解消」を演出。停滞していた貿易交渉が再始動する期待が高まった。だが、米中間には第1次トランプ政権時代からの「宿題」が残っており、対立解消に向けた交渉は容易ではない。
 トランプ氏は会談後、「主にレアアース(希土類)が解決した」と満足げに語った。高関税を互いに引き下げ「休戦」で合意した後も規制を巡る対立がくすぶり、交渉は高関税で中国に譲歩を迫った米側の思惑通りには進んでいない。
 トランプ氏はこれまで、「習氏は非常にタフで、ディール(取引)を成立させるのは極めて困難だ」と吐露していた。中国外務省によると、習氏は会談で中国が合意内容を「厳格に履行してきた」と主張し、「米国はこれを正視すべきだ」と説いた。貿易交渉を巡り、一方的に米国に譲歩する考えがないとの立場も示唆した。
 対中交渉を進める上で米側の念頭にあるのは、第1次トランプ政権での「第1段階合意」だ。中国が2021年末までの2年間で、米国から小麦やトウモロコシなどの農産物、自動車といった工業製品を含めて輸入を計2000億ドル(約30兆円)増やす内容となっている。
 だが、中国の輸入実績は目標額に届いていない。バイデン前政権はコロナ禍対策に注力したことで、中国との交渉を優先課題から外したため、その後の協議も進まなかった。
 トランプ氏は2期目の就任直後に署名した大統領令で、第1段階合意の履行について調査を命じた。トランプ氏は「複雑な点を解決した。全てがうまくいっている」と強弁したが、習政権は妥協する姿勢を見せておらず、協議の進展は予断を許さない。 

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