防衛費目標「GDP比5%」に道筋=首脳会議へ調整加速―NATO 2025年06月06日 14時19分

5日、ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会に出席したルッテ事務総長(前列左)やヘグセス米国防長官(同中央)ら(AFP時事)
5日、ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会に出席したルッテ事務総長(前列左)やヘグセス米国防長官(同中央)ら(AFP時事)

 【ブリュッセル時事】北大西洋条約機構(NATO)は5日、ブリュッセルで国防相理事会を開いた。トランプ米大統領が求める防衛費目標の国内総生産(GDP)比5%への引き上げについて、加盟国間での合意に一定の道筋を付けたもようだ。今月下旬に予定されるオランダ・ハーグでの首脳会議での正式決定に向け、各国は調整を一段と加速させる。
 「幅広い支持があった」。NATOのルッテ事務総長は国防相理事会後の記者会見でこう述べ、首脳会議での合意に自信を示した。防衛費の真水部分をGDP比3.5%とし、1.5%をインフラ整備など広義の安全保障に充てる「妥協案」を提示。各国に受け入れを求めたという。
 ただ、加盟国の中には温度差も残る。ロシアと国境を接する東欧や北欧諸国が積極的に防衛費を積み増す一方、南欧諸国では安全保障の優先度が相対的に低い。欧州メディアによると、新たな防衛費目標の達成時期や引き上げペースを巡り、各国間で意見の相違がみられるという。
 とはいえ、GDPの7%超を軍事支出に充てるロシアの脅威に加え、欧州からの米軍撤退をちらつかせるトランプ氏に対する危機感は強い。ルッテ氏は会見で「われわれは今までとは異なる、より危険な世界に生きている。(目標を引き上げなければ)近い将来において安全ではいられない」と述べ、結束を呼び掛けた。 

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