米、ICC裁判官4人に制裁=「独立性損なう」と反発も 2025年06月06日 05時56分

オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)=3月11日(EPA時事)
オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)=3月11日(EPA時事)

 【ワシントン時事】トランプ米政権は5日、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)の裁判官4人に制裁を科すと発表した。イスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状発付と、米兵の戦争犯罪捜査を巡る決定に関わった裁判官が標的。トランプ政権による事実上の報復措置で、国際社会の反発を招きそうだ。
 制裁対象に指定されたのはウガンダ、ペルー、ベナン、スロベニア出身の裁判官。パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるネタニヤフ氏らに逮捕状を出したほか、アフガニスタンでの米兵の戦争犯罪捜査を容認した2020年のICCの決定に関与した。制裁指定に伴い、米国内の資産が凍結される。
 ルビオ国務長官は声明で、4人の裁判官が「米国とイスラエルを標的とするICCの不当かつ根拠のない行動に積極的に関与してきた」と指摘。両国はICC設立条約の締約国ではなく、管轄権が及ばないと主張し、「(ICCが)主権と国家安全保障を侵害している」と批判した。
 ICCも声明を出し、「ICCの独立性を損なおうとする明白な試みだ」と反発。「処罰を受けずに行動できると信じる者を大胆にするだけだ」と述べ、犯罪に対する抑止力が失われると非難した。 

海外経済ニュース