自動車関税、元には戻らず=日米交渉は難航予想―エコノミスト 2025年05月16日 14時33分

シュテファン・アングリック氏 ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト(同社提供)
シュテファン・アングリック氏 ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト(同社提供)

 【ニューヨーク時事】調査会社ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト、シュテファン・アングリック氏が16日までに、時事通信のインタビューに応じた。トランプ米政権は日本車への関税を引き上げたが、交渉を経ても大統領就任前の水準には戻らないと予想。「自動車関連の対日貿易赤字の大きさを踏まえれば、容易には引き下げに応じられないだろう」と分析した。
 日本にとって米国は最大の輸出先で、対米輸出額の約3割を自動車が占めている。米政権は4月、輸入車への25%の追加関税の適用を開始した。
 アングリック氏は、米国が今月、英国車への関税率引き下げに同意したことを踏まえ、その他の国の自動車関税についても引き下げる可能性があると予想。日本車も10%程度まで下げられる可能性はあるものの、トランプ氏が製造業の国内回帰を優先する中で「2.5%の元の水準まで戻ることはないとみている」と語った。
 また、日本が一連の関税措置すべての見直しを求めていることについて「政府間に隔たりがあり、交渉が長引く恐れがある」と指摘。米企業の著しいコスト増やインフレにつながるため、日本に対する相互関税については、一時停止中の上乗せ分を合わせた24%を課す可能性は低いものの、10%の基本税率は残ると予測した。 

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