メルケル氏「信念曲げず、扉閉ざすな」=対トランプ氏、多国間主義擁護 2025年03月08日 06時08分

【ベルリン時事】ドイツのメルケル前首相は7日、ジュネーブの世界貿易機関(WTO)本部で講演し、「欧州の盟主」と評され第1次トランプ米政権と対峙(たいじ)した経験を踏まえ、「米国第一」を標ぼうするトランプ大統領との交渉について持論を語った。「ウィンウィン」の関係を目指す多国間主義を擁護し、「信念を曲げず、決して扉を閉ざさないで」と粘り強く対応する必要があると訴えた。
メルケル氏は、トランプ氏には不動産業の経験から「勝つか、負けるか」という発想しかないと指摘。「合意が得られなくても、その方法を探す努力を勧める」と強調した。その上で、2017年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長として、温暖化対策を巡り、国際枠組み「パリ協定」から離脱を表明したトランプ氏と、他の首脳らとの異なる立場を併記する異例の首脳宣言を取りまとめた経緯を紹介した。
また、政治家や外交官の心得として、「不用意に発言して圧力にさらされると、政治的に大きな打撃を受ける可能性がある」と述べ、冷静を保つことを求めた。周囲の助言にとらわれずに「本当に達成したいことを自ら考えなければならない」と説いた。