対新興国「ほほ笑み」全開=対米信頼低下に乗じ―中国 2025年03月07日 18時25分

 【北京時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相は7日の記者会見で米国に対抗する態度を強調する一方、新興国や欧州には徹底した「ほほ笑み外交」で応じた。「米国第一主義」を掲げるトランプ政権を念頭に、多国間主義と国際秩序の守護者としての中国の演出に努めた。
 「大国は国際的な義務を負い、責任を果たすべきだ。自国の利益のみを図ってはいけない」。王氏は会見で、国際協調に背を向けるトランプ政権を批判し、国連を中核とした秩序の重要性を訴えた。中国のアフリカ支援について質問したナイジェリアの記者に対しては「アフリカは21世紀の希望の大地だ。各国が発展の歩みを支持するべきだ」と語り、寄り添う姿勢をアピールした。
 トランプ政権は途上国支援の削減を主張し、対外支援を担ってきた国際開発局(USAID)の解体を進めている。また、ウクライナに侵攻を続けるロシアに接近するなどしており、西側諸国が懸念を深めている。国際社会の対米信頼度が急速に低下している現状は、米国に取って代わろうともくろむ中国には好機だ。
 習近平政権は既に、米国の援助打ち切りの影響を受ける南アフリカやネパールに対し、代替となる支援を申し出たと報じられている。トランプ大統領が就任した1月下旬以降、王氏は欧州や新興・途上国「グローバルサウス」を中心に約30カ国の首脳・外相らと会談。各国に支援を積極的に提供すると表明し、「信頼できる大国」のイメージづくりに奔走した。
 一方で、中国にとって最も重要な対米関係を巡っては、具体的進展の道筋が見えていない。関税の報復合戦は既に始まっており、首脳同士の直接会談が状況打開の鍵となるとみられるが、米中間ではいまだ対面の外相会談すら実現していない。習政権としては、米中関係が停滞する中、米以外の国・地域との「友好」に動くしかないというのが実情だ。 

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