旧政権残党と衝突、230人超死亡=少数派を殺害か―シリア 2025年03月07日 16時59分

7日、シリア北西部ラタキア県で、暫定政府の治安部隊の作戦中に立ち上る煙(EPA時事)
7日、シリア北西部ラタキア県で、暫定政府の治安部隊の作戦中に立ち上る煙(EPA時事)

 【イスタンブール時事】シリア北西部でアサド旧政権支持者と暫定政府の治安部隊との衝突が激化し、在英のシリア人権監視団は7日、230人以上が死亡したと明らかにした。AFP通信が伝えた。昨年12月の旧政権崩壊後では、シリアで最も激しい交戦になったという。
 報道によると、旧政権の残党が6日、治安部隊に攻撃を仕掛けて交戦に発展した。北西部ラタキア県などはアサド前大統領と同じ少数派イスラム教アラウィ派の住民が多く、旧政権幹部らが多数潜伏しているとされる。
 人権監視団によれば、交戦で治安部隊ら多数が死亡したほか、女性や子供を含むアラウィ派の市民130人以上が治安部隊に殺害された。シリアで多数を占めるスンニ派主導の暫定政府に対し、少数派弾圧との非難が高まる恐れもある。
 暫定政府はラタキア県などに援軍を派遣。国営通信によれば、アサド前大統領の父で、独裁体制の礎を築いたハフェズ・アサド元大統領の故郷のラタキア県カルダハでも旧政権残党の掃討作戦が始まった。シャラア暫定大統領は演説で、旧政権残党に「急いで武器を捨てて投降せよ」と警告した。
 多様な民族や宗教宗派が共存するシリアでは、少数派に配慮した包括的な国造りに加え、治安の安定も優先課題となっている。ペデルセン国連特使(シリア和平担当)は声明で「全当事者が自制する必要がある」と衝突拡大に懸念を示した。 

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