メキシコ大統領、交渉戦略奏功=関税で「難敵」の譲歩引き出す 2025年03月07日 15時51分

メキシコのシェインバウム大統領=4日、メキシコ市(AFP時事)
メキシコのシェインバウム大統領=4日、メキシコ市(AFP時事)

 【サンパウロ時事】メキシコは6日、同国などからの輸入品に対して米国が4日に発動した25%の関税を巡り、適用が免除される品目の拡大を勝ち取った。高圧的な姿勢で自らの政策を推し進める「難敵」のトランプ米大統領に対し、客観的な事実を示して妥協点を探る柔軟なシェインバウム・メキシコ大統領の戦略が奏功。トランプ氏の譲歩を引き出したとみられる。
 「両国に本当に有益な今回の合意に達した」。シェインバウム氏は6日朝の定例記者会見で、直前に行ったトランプ氏との電話協議による成果を強調した。3カ国の貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に準拠したメキシコ製品が4月2日まで、関税を免除されることになった。
 米国は、合成麻薬フェンタニルの米国流入を阻止するメキシコとカナダの努力が不十分などとして関税を発動。輸出全体の約8割が米国向けで深刻な事態に直面したメキシコは対抗措置を講じる方針を示したが、詳細は9日に公表するとし、米側との交渉の余地を残していた。直ちに報復に動いたカナダとは一線を画す対応だった。
 会見でシェインバウム氏は、電話協議のやりとりを再現。米国側の国境でフェンタニルの2月の押収量が前月より4割減少したことを示し、「結果が出ているのに、なぜ関税を課したのか。メキシコの人々に打撃を与えることで、今後どのように協力や連携を続けることができようか」と、トランプ氏に伝えたと明らかにした。
 トランプ氏は6日、SNSでメキシコとの合意を報告し、「われわれの関係は非常に良好だ。国境に関し懸命に取り組んでいる」と投稿。シェインバウム氏に謝意を表明した。トランプ氏は関税の発動を当初予定していた2月にも、シェインバウム氏との電話協議後に1カ月の延期を決めた。
 米シンクタンクの「ウィルソン・センター」は、同氏の対応について「必要に応じて対抗措置を講じると明確にすることで、弱腰に見えないようにしている」と指摘。「戦略外交の模範だ」と高く評価した。 

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