〔国際女性デー50年〕最大の障害は「思い込み」=平等推進で教育重要―アイスランド大統領 2025年03月07日 14時32分

アイスランドのトーマスドッティル大統領(大統領府提供・Aldis Palsdottir撮影・時事)
アイスランドのトーマスドッティル大統領(大統領府提供・Aldis Palsdottir撮影・時事)

 【ロンドン時事】アイスランドのトーマスドッティル大統領は7日までに、時事通信の書面インタビューに応じた。ジェンダー平等を推進する上で「職場や家庭の根底にある思い込み」が最大の障害だと指摘し、実現には男女双方への教育が重要との認識を示した。主なやりとりは次の通り。
 ―アイスランドでジェンダー平等が進んだ経緯は。
 (全土で女性が仕事や家事を休んだ)1975年のストが転機だった。女性が働かないと、ほとんどのことがうまく機能しないことを女性たちが示した。私たちは、この女性たちの勇気から多大な恩恵を受けている。男女平等に利用できる育児休暇を導入したことで、労働市場でも大きな進歩が見られた。
 ―平等を推進する上で障害は。
 最も困難な障害は、職場と家庭双方の根底にある思い込みや規範。(男性の方が)統率力で優れているという、私たちの思い込みだ。いまだに家事労働を「女性の仕事」と分類していることもそうだ。
 ―平等を実現するには何が必要か。
 労働市場での平等実現には、幅広い人が手頃な価格で利用できる託児所や、平等に取得できる育児休暇が不可欠だ。個人のレベルでは、男女のバランスが取れていることの価値について、男女双方に教育することが重要だと確信している。
 ―ジェンダー平等が社会にもたらす利益は。
 社会に貢献できる力をすべての市民に与えることは、経済成長や社会進歩の鍵になる。多様性がより良い意思決定を支え、創造性や革新性を高めるのは言うまでもない。
 ―アイスランドは現在、平等を達成したか。
 男女格差の解消で世界をリードしているかもしれないが、まだ80~90%といったところだ。ジェンダーに基づく暴力(撲滅)は十分に進展しておらず、最も懸念される課題だろう。解決には、男性がもっと積極的に関与することが必要だ。 

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