ウクライナに「揺るぎない支持」=128兆円の軍備計画承認―EU首脳会議 2025年03月07日 05時58分

【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は6日の特別首脳会議で、フォンデアライエン欧州委員長が加盟国の防衛力強化を目指して提案した今後数年間で最大8000億ユーロ(約128兆円)規模の「再軍備計画」を大筋承認した。ロシアの侵攻を受けるウクライナには「揺るぎない支持」を約束。トランプ米政権が軍事支援を停止する中、欧州の立場を改めて明確にした。
会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も出席した。トランプ大統領と2月末の会談で激しい口論となったが、「両国チームは作業を再開した。来週、有意義な会合が開かれることを期待している」と報告し、懸念払拭に努めた。
その上で「ウクライナ人は本当に平和を望んでいるが、ウクライナを放棄する代償を払ってではない」とも強調。領土の大幅な割譲など、限度を超えた譲歩を迫られても応じないと主張した。
EUの軍備計画は、加盟国に課された財政規律の緩和を通じた防衛費増大と、加盟国同士による兵器の共同調達を促す低利融資制度の創設が柱。閉幕後に発表された議長総括は、各国に提案の迅速な審議を指示し、フォンデアライエン氏には「防衛支出の拡大に向けた一段の措置」を求めた。
今後のウクライナ和平交渉に関しては、同国の「独立、主権、領土の一体性が尊重されねばならない」と指摘。「力による平和」を達成するため、EUはウクライナ軍事支援を拡充し、ロシアへの追加制裁に取り組むと訴えた。親ロシア姿勢が目立つハンガリーのオルバン首相は議長総括に同意しなかった。
フランスのマクロン大統領は5日、自国の核抑止力で欧州の同盟国を防衛する議論を始めると表明した。「欧州の自立」は以前からの持論。トランプ政権が欧州の安全保障への関与に消極姿勢を示すタイミングを捉えた発言で、会議に出席した各国首脳の間で「興味深いアイデアだ」「(米国の核の傘を)放棄すべきではない」などと賛否両論が巻き起こった。