鉱物権交渉、最終局面=文書署名も、28日訪米調整―トランプ氏との関係修復焦点・ウクライナ大統領 2025年02月26日 15時42分

【ワシントン時事】ウクライナの鉱物資源の権益を巡る同国と米国の交渉が最終局面を迎えている。複数の米欧メディアによると、両国は資源の共同開発などを定めた文書の内容で合意。ウクライナのゼレンスキー大統領は、署名のため28日にも訪米する方向で調整している。
英BBC放送によると、ゼレンスキー氏は26日、資源に関する合意が「さらなるディール(取引)につながる」ことに期待感を表明した。ただ、ウクライナが米側に確約を要求してきた「安全の保証」に関しては妥結していないと確認した。
トランプ米政権はロシアによるウクライナ侵攻終結に向け、同国の頭越しにロシアとの対話を開始。ゼレンスキー氏はロシアへの接近を強めるトランプ米大統領を「偽情報の空間に住んでいる」と批判した。これに対しトランプ氏はゼレンスキー氏を「選挙なき独裁者」と呼び反発。両者の間に亀裂が生じており、訪米で関係修復を印象付けられるかが焦点となる。
トランプ氏は25日、ホワイトハウスで記者団に「彼(ゼレンスキー氏)が金曜日(28日)に来ると聞いている」と表明。さらに「一緒に署名したいと言うならもちろん構わない」と述べた。
メディア報道によれば、合意案では、米国とウクライナが鉱物資源を共同開発し、新たに基金を創設して収益を管理する。収益を米側に還元する仕組みとされ、「何らかの形で(ウクライナ支援に投じた)資金を取り戻す」と主張するトランプ氏の意向を反映した形だ。
トランプ氏は「5000億ドル(約75兆円)相当」のレアアース(希土類)などの供給も求めていたが、この金額は文書から削られたという。「安全の保証」に関しては、文書中で「安全」に言及するものの、米国の具体的役割を明示しない表現とする。
安全の保証を巡っては、米国抜きの枠組みではロシアの再侵攻を抑止できないとウクライナや欧州は懸念しているが、トランプ氏は25日も「欧州諸国が主に責任を負う」と説明。米国の関与については「交渉の過程にある」と述べるにとどめた。
ただ、ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障担当)はこれより先、ウクライナや欧州の懸念を踏まえ「米国との経済協力を結ぶこと以上にウクライナにとって良いことがあるだろうか」と指摘した。トランプ政権は、鉱物資源の共同開発を実現できれば、ロシアも米国の権益を脅かすような行動を取り難くなると計算しているもようだ。