イスラエル首相、囚人釈放の条件つり上げか=「先に人質の遺体返還」要求 2025年02月25日 15時05分

イスラム組織ハマスが人質の遺体返還に際し公開したひつぎ=20日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(AFP時事)
イスラム組織ハマスが人質の遺体返還に際し公開したひつぎ=20日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(AFP時事)

 【イスタンブール時事】イスラエル政府がイスラム組織ハマスとの停戦合意に基づき、22日に予定していたパレスチナ囚人約600人の釈放を延期したことを巡り、同国メディアは24日、ネタニヤフ首相が釈放の条件をつり上げたと報じた。釈放延期が「重大な合意違反」に当たると反発しているハマスは一層態度を硬化させるとみられ、比較的順調だった「人質交換」に影響を与えかねない状況だ。
 イスラエル首相府は23日、ハマスが人質の遺体返還に際し、ひつぎを大げさに公開する「式典」を催したことを「人質への侮辱だ」と批判。同様の行為をやめない限り、人質解放や遺体返還の見返りとして停戦合意で定めた囚人釈放を取りやめると発表した。
 ハマスは停戦合意の第1段階で解放が決まった33人の人質のうち、これまでに25人を解放し4人の遺体を返還した。イスラエルメディアによると、ハマスは死亡したとされる残る4人の遺体について、簡素な形式で返還する意向を示したが、ネタニヤフ氏はそれでは不十分だと指摘。停戦交渉の仲介役に対し、遺体が返還されるまで囚人を釈放しない考えを伝えたという。
 これに関し、イスラエル当局筋は「政府内には人質(の遺体)返還よりもハマスの式典にこだわる人々がいる」と指摘した。ハマス側に譲歩を要求する内容のため、当局者の間では停戦合意が「崩壊寸前」との厳しい見方も出ている。
 ハマス関係者は23日、ロイター通信に「今後の停戦交渉が先に進むには、(ハマスによる)22日の人質6人の解放と(20日の)4人の遺体返還の見返りに、(イスラエルが)600人以上のパレスチナ囚人を釈放することが条件だ」と強調。「仲介役は(イスラエルに)合意を文言通り履行させなければならない」と語った。 

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