対中強硬、インド太平洋関与=ウクライナ支援継続―独メルツ氏 2025年02月25日 07時08分

【ベルリン時事】23日投開票のドイツ連邦議会(下院)選挙で、次期政権を率いることがほぼ確実となったキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補メルツCDU党首は、対中国政策で強硬な立場を取る見通しだ。インド太平洋への関与に積極的な姿勢を示している。
メルツ氏はベルリンで行われた1月の講演で「独裁国家の枢軸」として、ロシアやイラン、北朝鮮とともに中国を挙げ、「多国間秩序を攻撃している」と批判。独企業に対中投資を減らすよう求めた。インド太平洋地域の「安定と自由に貢献したい」と語り、日本を含む同盟国との連携に意欲を見せた。
ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援は継続し、ショルツ首相が拒んできた長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与に前向きな考えだ。ただ、停戦後に欧州各国軍をウクライナに派兵する案については「時期尚早」と慎重な立場だ。
一方、トランプ政権がロシアとの融和に動く中、独国内では米国の核の傘の安定性に懸念が生じている。メルツ氏は今月、核抑止の分野で「保有国である英仏と議論する必要がある」と語った。
CDU・CSUはショルツ連立政権が幕を引いた原子力事業も排除しない方針。経済対策では大規模な減税や煩雑な行政手続きの緩和を主張し、国債発行を抑制する財政ルールを重視している。
連立交渉の軸となる中道左派・社会民主党(SPD)とは、外交や防衛面で基本的な認識は共有しているものの、エネルギー、経済政策で大きく立場が異なる。公約や主張がどの程度新政権の政策に反映されるかは、今後の協議次第となる。