イスラエルが病院攻撃、20人死亡=医療従事者や報道関係者ら犠牲―ガザ南部 2025年08月25日 20時29分

【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザの保健当局は25日、南部ハンユニスのナセル病院がイスラエル軍の攻撃を受け、医療従事者や患者、報道関係者ら少なくとも20人が死亡したと明らかにした。イスラエル軍は声明で攻撃を認め、「無関係な個人の被害を遺憾に思う」とする一方、「ジャーナリストを標的にすることはない」と主張。軍参謀総長が調査を指示したと説明した。
ロイター通信は目撃者の話として、攻撃が2度に分けて行われたと報道。2度目の攻撃では救助に駆け付けた人々が巻き込まれた。救助作業を中継していた現地映像では、爆音が響くと同時に画面が白い煙で覆われ、悲鳴が上がった。ガザ保健当局は、ナセル病院が南部で唯一機能している公立病院だと指摘。「恐ろしい犯罪」としてイスラエルを非難した。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、死亡した報道関係者は5人で、それぞれ同局やロイター通信、AP通信などと協力して働いていた。ガザでは報道関係者への攻撃が繰り返され、これまでに240人以上が死亡。イスラエルは「イスラム組織ハマスのメンバーだった」などと主張してきた。
ロイターやAPはそれぞれ声明を出し、「訃報に打ちひしがれている」「衝撃を受け、悲しみに暮れている」と述べた。アルジャジーラは、報道関係者の殺害は「真実の声を封じるための組織的作戦だ」と強調。イスラエルが「ガザでのジェノサイド(集団殺害)や飢餓を隠蔽(いんぺい)しようとしている」と非難した。