米国「参戦」待つイスラエル=イラン攻撃、国民も圧倒的支持 2025年06月19日 16時48分

【カイロ時事】イラン攻撃に踏み切ったイスラエルでは、米国の「参戦」を求める声が一段と高まっている。イランのミサイル攻撃で被害も出ているが、「国家の存続を揺るがす脅威」(ネタニヤフ首相)を排除する千載一遇のチャンスだとして、国民の間でも主戦論が支配的だ。
ネタニヤフ氏は攻撃を開始した13日、イランの核武装が差し迫っていると強調し、先制攻撃を正当化した。ただ、武力で核開発を阻止するには米国の軍事力が不可欠とされる。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ネタニヤフ氏は4月に行われたトランプ米大統領との会談で、米軍の地下貫通型爆弾「バンカーバスター」でイランの地下核施設を破壊するよう要請した。日ごろネタニヤフ政権を厳しく批判する野党党首のラピド前首相も18日、米国の軍事介入については「必要がある」と訴え、ネタニヤフ氏と足並みをそろえた。
イスラエルは長年にわたり、イランを後ろ盾とするレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦。近年はパレスチナのイスラム組織ハマスもイランへの傾斜を強めている。イスラエルはイランを敵の「本丸」と見なし、圧倒的な打撃を加える機会をうかがってきた。
イスラエルの世論調査では、人口の大半を占めるユダヤ人の83%がイラン攻撃を支持。その多くが「誇り」や「希望」を感じている。泥沼化したパレスチナ自治区ガザでのハマスとの衝突についても、ハマスを支援するイランの弱体化がガザに連れ去られた人質全員の解放、ひいては戦闘終結につながると考える市民が少なくないとされる。
これまでイランから撃ち込まれた約400発のミサイルのうち、約20発が都市部に着弾。北部ハイファや中部テルアビブ一帯では建物が崩壊し、少なくとも24人が死亡した。
今後の展開について、イランが保有するミサイル数に対して迎撃ミサイル数が足りず、イスラエルは交戦が長期化した場合、対応に苦慮するとの指摘も出ている。一方で、イランで発射施設などの破壊が進み、イスラエルへの攻撃が次第に弱まっているとの見方もある。