地下深い中枢、破壊困難=イラン中部フォルドゥ核施設 2025年06月19日 15時34分

【イスタンブール時事】イスラエルが対イラン攻撃で米国の参戦を促している背景に、中部フォルドゥのウラン濃縮施設が最重要標的の一つになっていることがある。同施設は、首都テヘランの南約200キロの山岳地帯にあり、中部ナタンズのウラン濃縮施設と並ぶイラン核開発の中枢拠点。イスラエルの攻撃を逃れるため地下80~90メートルで濃縮が行われており、空爆での破壊は極めて困難とされている。
2015年にイランが欧米などと結んだ核合意で、フォルドゥは核技術関連の研究施設に転換された。旧型の遠心分離機1044台が残ったが、ウランを使わない条件で稼働が認められた。
第1次政権下のトランプ米大統領が18年に核合意から離脱すると、イランも合意規定から徐々に逸脱。19年にフォルドゥでのウラン濃縮活動を再開した。15年の合意で認められていた濃縮度3.67%を超えて60%まで拡大しており、23年には核兵器に転用可能な濃縮度90%に近い83.7%のウラン粒子が検出された。イランは当時「意図的ではない」と説明していた。
頑強なフォルドゥの核施設をイスラエル軍だけで破壊するのは難しく、目的達成には米国の軍事支援がカギを握る。
米軍が持つ地下貫通型爆弾「バンカーバスター」の投下や大規模なサイバー攻撃、イスラエルの工作員侵入による破壊工作を米国が空爆で支援する手法などが想定されている。ただ、いずれも無力化を実現できる保証はない。
国際原子力機関(IAEA)はイスラエルの攻撃で、既にナタンズでは「地下の濃縮エリアに直接的な影響」があり、電力遮断で遠心分離機が損傷したと分析。中部イスファハンやテヘランの核関連施設でも被害が確認されている。フォルドゥはまだ無傷とされ、イスラエルのハネグビ国家安全保障顧問は「フォルドゥに打撃を与えるまで作戦は終了しない」と強調している。