「兵器でなく子どもに投資を」=対外援助削減に危機感―ユニセフ高官 2025年06月18日 17時18分

国連児童基金(ユニセフ)のジル・ファニヌー西部・中部アフリカ地域事務所代表は17日、欧米各国が防衛費を増額する一方、対外援助の削減を進める現状について「世界中の援助機関にとって、前例のない危機だ」と述べた。その上で「長期的に平和を実現したいのなら、投資の対象が兵器ではなく、未来を担う子どもたちなのは明らかだ」と強調した。東京都内で時事通信のインタビューに応じた。
最大の援助提供国である米国のトランプ政権は、対外援助を担う国際開発局(USAID)を事実上解体したほか、国連への拠出金も大幅に削減する方針。欧州防衛に消極的なトランプ大統領の再登板を受け、ドイツや英国なども防衛費の増額を進める一方、対外援助を縮小する予定だ。
ファニヌー氏は「米国の拠出金削減による影響は深刻だ」と指摘。「自国の事情で多くの国が拠出削減を迫られているが、国際協調の理念を忘れてはならない」と語った。とりわけ、2050年までに世界の子ども人口の4割が住むことになるアフリカへの支援の重要性を訴えた。
対外援助縮小の流れを受け、ユニセフは26年度の収入が24年度比で少なくとも2割減になると試算。これに対応するため、米ニューヨークの本部や地域事務所の予算を25%削減する予定だ。ファニヌー氏は「子どもたちの保健衛生や教育分野で見られた改善の流れが、後戻りしかねない」と危機感を示した。