イラン、抗戦か譲歩か=イスラエル攻撃で壊滅的打撃―体制転覆リスク、対応に苦慮 2025年06月18日 15時22分

イランのアラグチ外相=3日、ベイルート(EPA時事)
イランのアラグチ外相=3日、ベイルート(EPA時事)

 【イスタンブール時事】イランは激しい攻撃を加えるイスラエルに対し、徹底抗戦を続けている。しかし、ミサイル関連拠点や防空施設が壊滅的打撃を受け、劣勢は鮮明だ。紛争終結への糸口を探る動きを見せていた米国が、軍事介入の検討に着手する中、イランにとって体制が転覆するリスクも浮上。交戦継続か大幅譲歩か、対応に苦慮しているとみられる。
 イラン外務省によると、アラグチ外相は17日、英仏独と欧州連合(EU)の外相との電話会談で「紛争激化はシオニスト(イスラエル)と、その支援者(米国)の責任だ。われわれの目下の力点は、侵略に効果的かつ抑止的に立ち向かうことだ」と主張。一方で「イランは外交を重視し、交渉の席を離れていない」とも訴えた。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、イランがアラブ諸国を通じ、敵対行為の停止や核協議の再開を米国とイスラエルに呼び掛けていると報じた。交戦長期化は得策でないと判断している可能性がある。
 そうした中、トランプ米大統領は17日、「あまりイランと交渉する気分ではない」と述べた後、SNSで「無条件降伏」を要求。米CNNテレビは、トランプ氏が「より好戦的な態度に大きく変化した」と伝えた。イランの時間的猶予は少なくなりつつある。
 イラン最高指導者ハメネイ師は18日のメッセージで「イランは決して降伏しない。シオニストを罰しなければならない」と主張した。精鋭軍事組織「革命防衛隊」は連日、戦果を強調。軍報道官も、17日の対イスラエル攻撃で最高性能のミサイルを初めて使用し迎撃されなかったとして、「この戦争では全ての攻撃能力を動員する。敵の耐久力も次第に落ちるだろう」と強気の姿勢を示した。
 だが、イランの継戦能力がどれだけ持続するかは見通せない。イスラエル軍の推計では、イランは約2000発のミサイルを保有していたが、交戦勃発後に約400発を発射。さらに、イスラエルによる一連の攻撃でミサイル発射装置の4割が破壊されたという。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、外交による事態収拾について「死をもたらす兵器を再びイランに造らせるだけだ」と一蹴。イラン攻撃の目的として掲げた核兵器やミサイルの開発阻止などを達成するまで、一切妥協しない考えを示している。 

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