対米貿易交渉の進展焦点=トランプ氏、各国と首脳会談へ―G7サミット 2025年06月15日 18時16分

【バンフ(カナダ西部アルバータ州)時事】カナダ西部カナナスキスで16日開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、トランプ米大統領は各国首脳と個別会談に臨む。米政権が目指す貿易協定の交渉は停滞しており、会議に招待された韓国やメキシコを含め、トップ外交で進展が図れるかが焦点だ。
トランプ氏が意欲を示す貿易協定では、英国が5月に合意に達した第1号となった。ラトニック米商務長官は今月12日、英国製自動車と米国産牛肉について、一定の輸入量までは関税がかからない割当枠の早期発効で両国が一致したと説明。交渉成果をアピールした。
だが、英国以外との協議は足踏み状態だ。日本は米国との閣僚交渉が6回に上る。石破茂首相はトランプ氏と会談する見通しだが、トランプ氏は開幕直前に自動車関税を25%から50%に引き上げる可能性に言及。発動されれば日本への打撃は大きいだけに、石破首相はトランプ氏と膝詰めで議論を深めたい考えだ。
一方、トランプ氏は5月、欧州連合(EU)の製品に50%の関税を課すと示唆。反発するEUは7月に報復関税に打って出る構えだ。トランプ氏と、フォンデアライエン欧州委員長や域内首脳との会談が実現すれば、こう着したままの交渉が前進する期待が高まる。
招待国では、韓国の李在明大統領がトランプ氏と初会談する予定で、韓国車に対する米関税が議題になる公算が大きい。メキシコとは鉄鋼関税で無関税枠を拡大する交渉が大詰めを迎えているとされ、合意すれば日本を含めた各国が進める交渉の前例となる。
議長国カナダは、サミット前の貿易協定合意も視野に米国との協議を進めている。ただトランプ氏は、鉄鋼関税を発動した第1次政権時の2018年、G7サミット議長だったカナダのトルドー首相(当時)と対立。トランプ氏がG7首脳宣言を承認しない事態に発展した経緯もあり、両国の交渉は予断を許さない。
会期の合間を縫っての調整となる首脳会談では、突っ込んだ議論がどこまでできるか不透明。トランプ氏が得意とする「ディール(取引)」がどうなるのか、世界各国の関心は強い。