トランプ米大統領、権威誇示=深まる分断、緊張高まる 2025年06月15日 14時35分

【ワシントン時事】トランプ米大統領(79)が14日、悲願だった首都での軍事パレードを自身の誕生日に実現した。トランプ氏はデモ鎮圧に軍を派遣するなど実力組織を意のままに操り、権力を誇示。こうした姿勢は「権威主義国のやることだ」(民主党幹部)と反発を呼び、各地で抗議運動が拡大した。民主党の州議会議員が暗殺される事件も重なり、分断が深まる米国には異様な緊張が漂っている。
「ハッピーバースデー・トゥー・ユー」。トランプ氏がパレード観覧後にステージに上がると、支持者たちは大合唱で迎えた。一連の祝賀行事は花火でフィナーレを迎え、一帯はお祭りムードに包まれた。演説したトランプ氏は「軍私物化」の批判を意識してか、移民送還のための軍動員といった従来の政治的主張には触れなかった。
しかし、この1週間で強権姿勢をエスカレートさせたことは隠しようもない。当局の不法移民検挙への抗議活動に対応するとして、ロサンゼルスに4000人の州兵と海兵隊700人を派遣。パレードに反対するデモ隊にも「強大な力で対処する」と威圧し、歯向かう者には軍を差し向けると示唆した。
トランプ氏は政権1期目にも軍事パレード開催を模索した。だが当時は「無駄遣い」と非難を浴び、軍高官らの反対も受けて断念した。念願がかなったのは、2期目に閣僚や軍幹部を「イエスマン」で固め、批判を封じたためだ。トランプ氏の隣でパレードを見守ったヘグセス国防長官は、デモ鎮圧のための軍投入に率先して協力しており、歯止めは利かなくなりつつある。
ワシントン・ポスト紙は14日の社説で、「トランプは軍を政治利用した」と厳しく非難した。英君主からの独立を支えた陸軍創設250年の節目に、「ノー・キングス(王はいらない)」をスローガンに掲げた政権批判デモが勢いを増している。
その他の写真
