米、AUKUS協定見直し開始=豪原潜導入に不透明感 2025年06月12日 05時18分

米国のバージニア級原子力潜水艦=3月16日、オーストラリア西部沖(AFP時事)
米国のバージニア級原子力潜水艦=3月16日、オーストラリア西部沖(AFP時事)

 【ワシントン、シドニー時事】米国防総省がオーストラリアへの原子力潜水艦配備に関する協定の見直しを始めたことが分かった。マールズ豪国防相が12日、認めた。豪州の原潜導入に不透明感が強まった格好で、原潜配備での協力を柱とする米英豪3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」への影響も避けられない見通しだ。
 マールズ氏は豪公共放送ABCに対し「見直しは承知している。新政権がそれを行うのは自然なことだ」と述べた。同時に「(原潜配備)計画を進めることが重要だ。われわれは実現に自信を持っている」と着実な履行を訴えた。
 豪州は協定の一環として、2030年代に米国からバージニア級原潜を最大5隻購入する予定。しかし、米国内の造船能力は限られており、計画が米国向けの潜水艦建造を圧迫するとの懸念が広がっている。米国防総省当局者はABCに「計画が『米国第一』の政策課題と適合するか精査している」と述べた。
 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、見直しはコルビー国防次官(政策担当)が主導。コルビー氏は台湾有事への備えを優先し、AUKUSに懐疑的な姿勢を示してきた。豪州と英国の当局者は見直しに「大きな不安」を抱いているという。
 ヘグセス米国防長官は10日の米下院公聴会で「AUKUSはインド太平洋地域の戦略的構図を再編する可能性を秘めている」と評価し、支持を表明していた。 

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