反政権デモ、各地に飛び火=トランプ氏、締め付け強化―ロスに外出禁止令・米 2025年06月11日 06時17分

10日、ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領(EPA時事)
10日、ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領(EPA時事)

 【ワシントン、シリコンバレー時事】米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで広がった不法移民検挙に対する抗議活動が10日、東部ニューヨークや中西部シカゴなど各地に飛び火した。トランプ大統領は、暴徒化したデモ参加者を「動物」「雇われ反乱者」と呼び、軍派遣を含めた締め付けを強化する方針を表明した。一方、ロサンゼルスのバス市長は、略奪や暴力に歯止めをかけるため、市中心部の一部に夜間外出禁止令を出した。
 夜間外出禁止令は10日夜から発効し、数日間続く見通し。バス氏は9日夜に23店舗が略奪被害に遭ったと明らかにした。
 米紙ニューヨーク・タイムズはロサンゼルスやニューヨーク、シカゴを含む5都市で、これまでに計350人以上のデモ参加者らが拘束されたと報じた。集会の解散命令に従わなかっただけでなく、火炎瓶による殺人未遂や器物損壊といった悪質な容疑の事件も発生した。
 トランプ氏はホワイトハウスで記者団に、軍の治安維持権限を拡大する「反乱法」を発動する可能性について、「反乱が起きればもちろん発動する」と言及。既に派遣された部隊の活動は「危険がなくなるまで」続くと述べた。同氏の強権的な手法に批判が強まる中、「(不法移民の)送還を続ける」と強調した。
 カリフォルニア州のニューサム知事は10日夜の演説で、「民主主義はわれわれの目の前で(トランプ氏による)攻撃を受けている」と主張した。その上で「トランプ氏が最も望んでいるのは沈黙だ」と指摘し、平和的な方法で声を上げ続けるよう訴えた。
 政権はロサンゼルスのデモ対応に当たる警察当局の支援のため、9日までに最大4000人の州兵と海兵隊700人を動員。国防総省は、派遣費用が計1億3400万ドル(約194億円)に上るとの見通しを示した。
 海兵隊部隊は10日、ロサンゼルスの市街地に到着した。ニューサム氏は「(治安維持に関する)州の権限を侵害した」として、海兵隊の活動制限を求めてトランプ氏を提訴した。 

その他の写真

10日、米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで、抗議活動参加者を拘束する警察(AFP時事)
10日、米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで、抗議活動参加者を拘束する警察(AFP時事)
10日、夜間外出禁止令が発効した米ロサンゼルス(AFP時事)
10日、夜間外出禁止令が発効した米ロサンゼルス(AFP時事)
10日、米中西部シカゴで不法移民検挙に抗議するデモ行進に参加する人々(AFP時事)
10日、米中西部シカゴで不法移民検挙に抗議するデモ行進に参加する人々(AFP時事)
10日、米東部ニューヨークで行われた不法移民検挙に対する抗議活動(EPA時事)
10日、米東部ニューヨークで行われた不法移民検挙に対する抗議活動(EPA時事)

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