「実用外交」に期待感=中国、対韓関係改善狙う―韓国大統領選 2025年06月04日 00時41分

中国の習近平国家主席=4月14日、ベトナム・ハノイ(EPA時事)
中国の習近平国家主席=4月14日、ベトナム・ハノイ(EPA時事)

 【北京時事】中国の習近平政権は、韓国大統領選での李在明氏の勝利を受け、冷え込んでいた中韓関係の改善に期待を寄せている。中国メディアは、李氏が掲げる国益中心の「実用外交」と「安定した対中政策」を目指す姿勢を好意的に報道。経済・通商面の実利をてこにすることで、韓国の取り込みが容易になるとの打算がありそうだ。
 習政権は2017年、在韓米軍の迎撃ミサイル「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備問題をきっかけに、韓国への態度を硬化。尹錫悦前大統領が日米と安全保障で連携を深める動きにもいら立ちを強めてきた。
 一方、李氏は選挙運動中に「台湾と中国がけんかしても、われわれと何の関係があるのか」と発言。習政権は尹氏が台湾情勢を巡って「力による現状変更への反対」を明言したことにも強い不満を抱いており、台湾問題から距離を置く李氏の姿勢は大歓迎だ。
 米中対立が続く中、中国は近隣国との関係強化を急いでおり、韓国で今秋開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた習国家主席の訪韓が調整されている。中国はTHAAD問題への経済報復措置の一環として、韓国の音楽や映画、ドラマなどの国内流通を制限してきた。習氏の訪問を機に「韓流」が解禁されるのではないかとの観測も出ている。 

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