反ユダヤ主義の被害者「准将」に=ドレフュス昇進法案を可決―仏下院 2025年06月03日 06時51分

フランス陸軍のユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュス=撮影日時不詳(AFP時事)
フランス陸軍のユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュス=撮影日時不詳(AFP時事)

 【パリ時事】フランス下院は2日、19世紀末に起きた反ユダヤ主義のえん罪事件で被害者となった陸軍のユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュス(1859~1935年)を准将に昇進させる法案を全会一致で可決した。上院が承認すれば、かねて不十分と指摘されてきた名誉回復が死後90年を経て実現する。
 フランスでは、パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を受け、ユダヤ人を狙った嫌がらせや犯罪が多発。歴史的存在のドレフュスをたたえることで、反ユダヤ主義を容認しない断固とした姿勢を示す狙いもある。
 ドレフュスは大尉だった1894年、軍の機密をドイツに漏らしたとして、敵方との内通の罪で終身刑に処せられた。しかし、作家ゾラが「われ、弾劾す」とえん罪を告発。国粋主義者らが反発し、国内を二分する激論となった末、1906年に無罪が確定した。後に中佐に昇進したが、復職時の階級は不当に低かったとの指摘があった。
 法案を提出したアタル元首相は「ドレフュスを襲った反ユダヤ主義は過去のものではない。フランスはあらゆる形の差別を絶えず警戒していかねばならない」と訴えた。 

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