右派野党候補がリード=親EU政権の是非焦点―ポーランド大統領選 2025年06月02日 06時37分

ポーランド大統領選で争う右派野党「法と正義」が支援するナブロツキ氏(左)と、与党の中道「市民プラットフォーム」が擁立したチャスコフスキ氏(AFP時事)
ポーランド大統領選で争う右派野党「法と正義」が支援するナブロツキ氏(左)と、与党の中道「市民プラットフォーム」が擁立したチャスコフスキ氏(AFP時事)

 【ベルリン時事】ポーランドで1日、大統領選の決選投票が実施された。地元メディアによると、愛国的な右派野党「法と正義」が支援する政府機関トップのカロル・ナブロツキ氏(42)が、与党の中道「市民プラットフォーム」が擁立したワルシャワ市長のラファウ・チャスコフスキ氏(53)を僅差でリードしている。
 公共放送TVPが伝えた開票速報では、ナブロツキ氏の予想得票率は51%で、チャスコフスキ氏は49%。大統領の任期は5年。外交・国防で一定の役割を果たすほか、法律の拒否権を持つ。
 親欧州連合(EU)のトゥスク首相率いる現政権によるリベラル路線の是非が問われた。2023年に発足した現政権は、8年続いた法と正義政権が推し進めた司法・メディアの統制強化の撤回を目指しているが、同党出身のドゥダ大統領が法案の拒否権を行使し、改革が滞っている。
 ポーランドは従来、ロシアに対する強い警戒感から、米国との安全保障協力を最も重視してきた。ただトランプ米大統領が欧州防衛に消極姿勢を示す中、トゥスク政権は欧州諸国との安保協力強化に比重を移している。
 ナブロツキ氏は自国第一を掲げ、トランプ氏とも面会。対米重視を打ち出している。チャスコフスキ氏は中絶禁止の緩和などを主張し、第1回投票を首位通過した。
 第1回投票で3位だった極右野党「同盟」のメンツェン共同党首の支持者の動向も注目されている。ナブロツキ氏は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟反対を含むメンツェン氏の政策への支持を表明し、票の取り込みを図った。 

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