米中、見えぬ緊張緩和=国防相会談見送り―アジア安保会議 2025年05月30日 15時57分

【シンガポール時事】「アジア安全保障会議」(通称シャングリラ会合)に合わせた米中国防相会談が見送りとなった。中国の董軍国防相が安保会議を欠席するためで、両国関係の緊張緩和の見通しは立っていない。
ヘグセス米国防長官はシンガポールへ出発前、記者団に「共産中国を含め、誰とも紛争は望んでいない。しかし、(中国を)抑止する」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。米中国防相会談は昨年5月にシンガポールで開かれたのが最後で、今年1月のヘグセス氏就任以降は実現していない。
米軍は安保会議開幕を前に、台湾に近いフィリピン北部バタン諸島に最新の無人地対艦ミサイル「NMESIS(ネメシス)」を配備した。米比両軍の年次合同軍事演習「バリカタン」の一環で、中国をけん制した格好だ。
一方、ロイター通信は28日、中国がベトナムなどと領有権を争っている南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島に、長距離爆撃機H6を2機着陸させたと報じた。H6は核兵器を搭載できるとされ、米比などに対する姿勢を示したものと言えそうだ。
トランプ米政権が中国共産党とつながりのある中国人留学生のビザ(査証)取り消しを発表したことも、米中関係の新たな火種となっている。両国の緊張がくすぶる中、軍・国防当局間の対話は乏しく、偶発的な衝突リスクも消えないままだ。