トランプ路線か親欧州か=東欧2国で18日大統領選 2025年05月17日 14時26分

【ベルリン時事】東欧ポーランドとルーマニアで18日、それぞれ大統領選が実施される。両国とも、自国最優先を貫くトランプ米大統領に共感を示す右派候補と、欧州内の協調を重視するリベラル系の首都市長による対決の様相を呈している。対ロシア抑止の要である駐留米軍の両国からの一部撤退も取り沙汰され、対米関係の見直しが争点の一つとなっている。
ポーランドではドゥダ大統領の任期満了に伴う第1回投票が実施される。同国は伝統的に対米関係を重視するが、トゥスク首相は、トランプ政権が欧州の安全保障への関与に消極姿勢を示す中、周辺国との防衛協力に比重を移している。
選挙戦はトゥスク氏率いる中道右派「市民プラットフォーム(PO)」のチャスコフスキ・ワルシャワ市長が支持率首位を走る。これを現代史を検証する政府機関、国家記憶院の総裁で、右派政党「法と正義」の全面支援を受けるナブロツキ氏が追う展開だ。
自国第一を掲げるナブロツキ氏は今月1日、ホワイトハウスでトランプ氏と面会し、米国との親和性をアピールした。両候補とも過半数に届かず、来月1日の決選投票にもつれ込む公算が大きい。
やり直し大統領選の決選投票が実施されるルーマニアでは、第1回投票を首位通過した極右政党「ルーマニア人統一同盟」のシミオン党首と、中道のダン・ブカレスト市長が対決する。
シミオン氏はかつて、隣接するモルドバとウクライナ領土の併合を主張し、両国から入国を禁止されている。領土拡張の野心を見せるトランプ氏の自国第一主義に「完全に同意する」と公言。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援に反対の立場だ。
ルーマニアでは、無効となった昨年11月の第1回投票で自国第一を訴えて最多票を獲得したジョルジェスク氏が、不正を指摘されて出馬を禁じられた。シミオン氏は、大統領就任後にジョルジェスク氏を要職に起用すると示唆し、共闘姿勢を打ち出している。
東欧では、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)で、自国最優先の立場から結束を乱してきたハンガリーのオルバン首相やスロバキアのフィツォ首相が、トランプ氏に共鳴。欧州諸国は新たな「問題児」の誕生に身構えている。