中国外相、歴史・台湾問題で日本けん制=関係改善で譲れぬ一線 2025年03月23日 00時00分

21日、首相官邸で石破茂首相と会談した後、笑顔を見せる中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)
21日、首相官邸で石破茂首相と会談した後、笑顔を見せる中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)

 【北京時事】中国の習近平政権は、石破茂政権発足後、日本との関係改善に前向きな姿勢を示している。だが、歴史認識や台湾問題では一歩も譲らない構えだ。今年は中国にとって「抗日戦争勝利80周年」に当たり、歴史と台湾を絡めながら日本へのけん制を続けるとみられる。
 4年4カ月ぶりに訪日した中国の王毅共産党政治局員兼外相は、21日に石破首相と会談。中国外務省によると、「日本は歴史と台湾問題に関する重要な政治的な了解を確実に履行すべきだ」と述べた。また、22日の岩屋毅外相との会談では、「歴史を正しく理解することは戦後の日本が国際社会に復帰する重要な前提」だったと主張した。
 今回の日本滞在中、王氏は繰り返し歴史と台湾の問題に言及。関係改善に向けて、過去の軍国主義への反省と台湾を中国の一部とする「一つの中国」の原則が、譲れぬ一線であることを改めて日本側に訴えた。
 中国共産党にとって、旧日本軍に抵抗を続けた歴史は統治を正当化する根拠の一つだ。台湾統一も習政権にとって悲願で、「独立派」とみなす台湾の頼清徳政権に日本が接近することに神経をとがらせている。
 2月の日米首脳会談の共同声明では、台湾について「一方的な現状変更の試みに反対」し、台湾の国際機関への参加に支持を表明。中国外務省は「強烈な不満」を示していた。王氏も今月7日の記者会見で、「日本には(軍国主義を)反省せず台湾独立勢力と通じる者がいる。『台湾有事は日本有事』と吹聴することは、日本が自ら事を構えることだ」と強い調子で非難した。
 「習政権は、事あるごとに台湾と歴史問題を絡めて日本に圧力をかけてくるだろう」(外交筋)といった見方は多く、日本側の出方を見極めながら関係改善を進めるもようだ。 

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