EU、米追加関税に対抗措置=4月発動、4.2兆円相当対象 2025年03月12日 15時32分

【パリ、ロンドン時事】欧州連合(EU)欧州委員会は12日、米国による鉄鋼・アルミニウム追加関税は「不当」だとして、対抗措置を発表した。4月1日から2段階で実施する。報復対象は最大計260億ユーロ(約4兆2000億円)相当の米製品。米国の追加関税に匹敵する内容を予定しており、米EU間の「貿易戦争」が再燃する恐れが高まっている。
フォンデアライエン欧州委員長は声明で、米国の追加関税を「遺憾だ」と表明。その上で「消費者と企業を守るために行動しなければならない」と強調した。欧州委は「米政権と協力して解決策を見いだす用意がある」とも指摘。協議がまとまれば、対抗措置を撤回する方針を示した。
EUは2018年、トランプ第1次政権が導入した鉄鋼、アルミへの追加関税に対し、大型二輪車やウイスキーなどの米製品への報復関税を発動。21年にバイデン前米政権との間で「休戦」となり、報復関税を今年3月末まで棚上げしていた。
EUは、この報復関税を4月1日に再開する。同月半ばに追加措置を講じる計画だ。「米国の新たな追加関税は対象品目を大きく広げており、影響を受ける欧州の貿易額も大幅に増えている」と追加措置の理由を説明した。
欧州の経済団体「ビジネス・ヨーロッパ」のベイレル事務局長は12日、米国の関税導入は「大西洋の両岸にとって損失をもたらすだけだ」と非難するコメントを発表。EUに対して「交渉による解決策を見いだす最終目標を掲げ、自らの利益を守ること」が最優先事項とした上で、地政学的リスクを抱える中、「輸出入市場の多様化が不可欠だ」と訴えた。