ドゥテルテ前比大統領を逮捕=人道に対する罪、ハーグに移送―ICC 2025年03月11日 12時23分

フィリピンのドゥテルテ前大統領=9日、香港(AFP時事)
フィリピンのドゥテルテ前大統領=9日、香港(AFP時事)

 【マニラ時事】フィリピン大統領府は11日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の逮捕状に基づき警察当局がドゥテルテ前大統領(79)を逮捕したと発表した。ICCは、大統領在任中の「麻薬戦争」で密売人の超法規的な殺害を命じた行為が「人道に対する罪」に当たるとして逮捕状を発付した。
 逮捕状は同日午前、ドゥテルテ氏が訪問先の香港から帰国した際、マニラの国際空港で執行された。同日夜、ドゥテルテ氏を乗せたチャーター機が空港から出発、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ向かった。同地を経由してハーグに移送されるとみられる。
 逮捕後に面会したドゥテルテ氏の次女がSNSに投稿した動画によると、同氏は「どんな罪を犯したというのだ。法的根拠を示してほしい」などと訴えた。長女のサラ副大統領も「政府はフィリピン市民を海外の機関に引き渡した。これはわれわれに対する明らかな侮辱だ」とコメントした。
 ドゥテルテ氏は大統領だった2016~22年、違法薬物を根絶するため「麻薬戦争」を仕掛け、密売人らを殺害した。警察は死者を7000人以上としているが、3万人が殺害されたとの見方もある。
 ドゥテルテ氏は昨年10月の上院公聴会で、計20年以上市長を務めていた南部の地元ダバオ市でも、密売人を暗殺する集団を雇っていたと証言。警察官にも殺害報酬を支払っていたと明かしていた。
 この問題を巡っては、ICCが人道に対する罪で捜査。フィリピンは19年にICCから脱退したが、麻薬戦争時は加盟していたとして、ICCは捜査権が及ぶとの判断を示していた。
 逮捕を受け、ドゥテルテ氏が拘束されていた空軍基地には多くの支持者らが駆け付けた。一方、マニラ首都圏の街中では逮捕を祝う集会が幾つも開かれたという。 

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11日、マニラの国際空港で、フィリピンのドゥテルテ前大統領の到着を待つ警察官(AFP時事)
11日、マニラの国際空港で、フィリピンのドゥテルテ前大統領の到着を待つ警察官(AFP時事)
フィリピンのドゥテルテ前大統領が拘束されている空軍基地の前に集まった支持者と報道陣=11日、マニラ首都圏
フィリピンのドゥテルテ前大統領が拘束されている空軍基地の前に集まった支持者と報道陣=11日、マニラ首都圏

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