シリア衝突、死者1300人超=治安部隊、少数派標的に多数殺害か 2025年03月10日 06時07分

8日、シリア北西部ラタキアの検問所で警戒に当たる治安部隊(EPA時事)
8日、シリア北西部ラタキアの検問所で警戒に当たる治安部隊(EPA時事)

 【イスタンブール時事】シリア北西部で続く暫定政府の治安部隊とアサド旧政権残党の衝突で、在英のシリア人権監視団は9日、女性や子供ら市民830人が死亡したと明らかにした。アサド前大統領と同じ少数派のイスラム教アラウィ派の住民らが主に標的とされたとみられる。交戦で治安部隊と旧政権を支持する武装勢力合わせて480人超が死亡。6日に始まった一連の衝突に伴う死者は1300人を超えた。
 交戦が激しさを増している北西部ラタキア県やタルトス県などの地中海沿い一帯にはアラウィ派の住民が多く、旧政権の支持者らが多数残っているとされる。アラウィ派はアサド独裁体制下で優遇されたため、昨年12月の政権崩壊後は、国内の多様な民族や宗教・宗派からの報復が懸念されていた。
 同監視団は「市民が宗派や地域を基に虐殺された戦争犯罪だ」と指摘。スンニ派主導の治安部隊を支援する勢力が北西部一帯に押し寄せ、迫害の動きを強めている可能性がある。人口の1割を占めるキリスト教徒も多く犠牲になったと伝えられ、宗教・宗派対立が激化する恐れがある。 

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