富士通と賠償協議開始へ=大規模冤罪事件巡り合意―英政府 2025年03月09日 17時57分

 【ロンドン時事】英国の郵便局を舞台に発生した大規模な冤罪(えんざい)事件を巡り、同国政府は9日までに、欠陥のある会計システムを開発した富士通と、被害者への補償に向けた協議を始めることで合意した。
 英政府が発表した共同声明によると、日本を訪問したレイノルズ・ビジネス貿易相が7日、富士通の時田隆仁社長らと会談。政府として「今後も補償と救済を迅速に進めていく」と表明した。富士通も「被害者に対する政府の補償に貢献するという道義的責任を果たす」ことを約束したという。
 事件を巡っては、富士通の会計システムが導入された全国の郵便局で、窓口の現金とシステム上の残高が一致しない問題が頻発。2015年までに700人以上の局長らが起訴され、失業や自己破産、自殺に追い込まれる人も出た。
 その後、問題は会計システムの欠陥が引き起こしていたことが判明。昨年には、被害者に対する有罪判決を取り消し、補償金を支払う救済法が成立した。 

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