トランプ政策、景気に冷や水=高関税や政府職員削減―米エコノミスト 2025年03月04日 10時22分

トランプ米大統領=2月27日、ワシントン(AFP時事)
トランプ米大統領=2月27日、ワシントン(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が目指す関税引き上げや政府職員削減が、堅調さを保つ米景気に冷や水を浴びせるとの懸念が浮上している。政策を巡る不透明感も一因に、米経済をけん引する個人消費に陰りが見えつつある。
 1月の個人消費支出は前月比0.2%減と、2023年3月以来のマイナスを記録した。セントルイス連邦準備銀行のムサレム総裁は3日の講演で「最近の指標は消費者が年初以降、一層慎重になっていることを示している」と分析。「経済政策の不透明感を表す指標が上昇しており、これが消費支出を圧迫している可能性がある」との見方を示した。
 主要貿易相手であるカナダやメキシコへの関税引き上げは、米経済への影響がとりわけ大きい。米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・ストレイン氏は、特に供給網が国境をまたがる自動車関連で「株価が下がり、車の価格も上がる」と懸念した。
 同氏は、高関税政策は「今やホワイトハウス内の宗教のようなものだ」と指摘。「多くの顧問が関税引き上げに極めて懐疑的だった第1次トランプ政権時とは違う」と解説した。
 実業家イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省」が主導する政府職員の大幅削減も、雇用悪化につながりかねない。「今後数カ月、雇用の伸びに大幅な下振れリスクがある」(米エコノミスト)との声も上がる。 

海外経済ニュース