職員拘束や物資確保に懸念=UNRWA禁止法施行1カ月―イスラエル 2025年03月03日 16時16分

【エルサレム時事】イスラエルで国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律が施行されてから、約1カ月が経過した。施行後もパレスチナ自治区ガザなどで住民支援は続いているが、イスラエル当局との調整が不可能になったことで、現地職員の拘束や支援物資確保への懸念が出ている。
活動禁止の関連法案は、2023年10月のイスラム組織ハマスによる奇襲にUNRWA職員が関与したとされる問題を背景に、24年10月に国会で可決された。今年1月末の施行に伴い、幹部ら国際職員はイスラエルに入国できなくなった。
東エルサレムにあるUNRWA本部は閉鎖されたものの、食料や医療、教育といった支援は各地で続けられている。だが、隣国ヨルダンのアンマンから電話取材に応じた清田明宏保健局長は「職員が突然、拘束される恐れがある」と述べ、活動が不安定になることに懸念を表明。東エルサレムでは2月中旬、イスラエル軍が予告なしに押し掛けたため、教育施設が一時閉鎖されたという。
清田氏はまた、当局との接触が絶たれた中で、「医療スタッフや物資がイスラエルによる検問を通過するのが困難になる事態も予想される」と指摘。医師ら職員を配置換えしたり、他の国際機関の協力で拠点近くに新たに倉庫を借りたりと、対応に追われたと明かした。
ガザで働く男性職員は、取材に「困難な状況だが、住民のために働き続ける」と話す。ただ、安全のため身元を明かさないよう求めた。
清田氏は、ガザで進めているポリオ(小児まひ)予防接種で、スタッフの4割がUNRWA職員であることを挙げ「UNRWAなしに一次医療はできない」と強調。「特にガザは復興期で、必要とされている活動が止まらないようにしてほしい」と訴えた。
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