「勝てない」「第3次大戦招く」=雰囲気一転、正副大統領が攻撃―ゼレンスキー氏の「質問」発端 2025年03月01日 14時32分

2月28日、ホワイトハウスで口論するウクライナのゼレンスキー大統領(左)とトランプ米大統領(EPA時事)
2月28日、ホワイトハウスで口論するウクライナのゼレンスキー大統領(左)とトランプ米大統領(EPA時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領が2期目就任後初めてウクライナのゼレンスキー大統領と向き合った2月28日の会談は、友好ムードの演出で始まった。しかし、ロシアとの対話の重要性を強調するバンス米副大統領にゼレンスキー氏が「質問」し、空気は一変。トランプ氏が「無礼だ」「あなたは戦争に勝てない」とゼレンスキー氏を罵倒する異常な首脳会談の詳細が、メディアを通じ世界に伝えられた。
 会談ではトランプ氏が冒頭、「ゼレンスキー大統領を迎えることができて光栄だ」と述べ、署名予定だった鉱物資源を巡る合意文書を評価した。ゼレンスキー氏はロシアのプーチン大統領を「殺人者」と呼び、「妥協はあり得ない」と強調した。
 口論が始まったのは開始から約40分がたち、バンス氏が「プーチン氏に肩入れし過ぎではないか」という記者の問いに対し、平和に至る道である外交にトランプ氏は取り組んでいると説明した直後だった。「質問していいだろうか」。ゼレンスキー氏は真剣な表情で切り出し、「あなたが言う外交とはどういうものか」とただした。
 これにバンス氏が「無礼だ。ウクライナの破壊を阻止しようとしている政権を攻撃することが、敬意に満ちた態度だと考えているのか」と反発。ゼレンスキー氏が「戦時にはすべての国が問題を抱えている。あなたは海を隔てているから感じていないが、将来感じることになるだろう」と応じると、トランプ氏が「われわれが何を感じることになるか、あなたが言うな」と語気を強めた。
 トランプ氏はさらに「あなたは良い立場にはいない。あなたは今、カードを持っていない」と攻撃を続けた。ゼレンスキー氏は「私はカードゲームをしていない」とかわそうとしたが、トランプ氏は「あなたは第3次世界大戦を対象に賭けをしている。あなたは戦争に勝てない」と畳み掛けた。
 トランプ氏のいら立ちはその後も収まらず、「もう十分だ。素晴らしいテレビ番組になっただろう」と述べ、公開での議論を打ち切った。 

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