ウクライナ、根深い欧米不信=トランプ氏は個人的恨みも 2025年03月01日 08時22分

28日、トランプ米大統領との会談が物別れに終わり、ホワイトハウスを後にするウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)
28日、トランプ米大統領との会談が物別れに終わり、ホワイトハウスを後にするウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領のウクライナ停戦への取り組みに同国のゼレンスキー大統領が疑問を呈して激しい言い合いとなり、28日のホワイトハウスでの首脳会談は物別れに終わった。背景には、ウクライナ側が求める「安全の保証」を巡って、根深い欧米への不信がある。
 ウクライナが独立を宣言したのは1991年8月。同国は94年、旧ソ連時代に配備された大量の核兵器の放棄に同意した。これを受けて米ロ英の核保有3カ国はウクライナの「安全の保証」を約束。その20年後の2014年、3カ国のうちのロシアのプーチン大統領がクリミア半島を一方的に併合した。
 ゼレンスキー氏はこの日、トランプ氏の前で「誰も彼(プーチン氏)を阻止しなかった」と指摘。その後、ドイツとフランスを交えてロシア側と停戦合意(ミンスク合意)を結んだものの「(プーチン氏は)停戦を破り、仲間を殺し、捕虜交換も行わなかった」と糾弾した。
 プーチン氏が今後も約束をほごにするとの疑念は、トランプ氏と今週会談した英仏首脳もあらわにしている。一方、トランプ氏はウクライナの鉱物資源の権益を巡り合意を迫り、「安全の保証について話す必要はない」と取り合わなかった。
 トランプ氏の一方的な振る舞いは、19年にゼレンスキー氏に対して軍事支援などを行うことを条件として、ウクライナと関係のあったバイデン前大統領(当時は前副大統領)の醜聞を捜査するよう要求した事件をほうふつさせる。
 ゼレンスキー氏はこの時、トランプ氏の求めに応じず、米下院はトランプ氏を弾劾訴追(上院で無罪判決)した。米外交関係者の多くは、トランプ氏がゼレンスキー氏を恨み、嫌っているのは明白だとみている。 

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