米ウクライナ首脳会談決裂=対ロで平行線、合意文書署名中止―「無礼」とトランプ氏、激しい口論 2025年03月01日 02時58分

2月28日、ホワイトハウスで、トランプ米大統領(中央)とウクライナのゼレンスキー大統領(左)の前で発言するバンス米副大統領(AFP時事)
2月28日、ホワイトハウスで、トランプ米大統領(中央)とウクライナのゼレンスキー大統領(左)の前で発言するバンス米副大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は2月28日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。ロシアのウクライナ侵攻終結を巡り、互いの主張は平行線をたどり、激しい口論の末、会談が決裂。予定していたウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書への署名は中止となり、トランプ氏が目指すウクライナでの停戦実現は遠のきそうだ。
 第2次トランプ政権が1月に発足後、首脳会談は初めて。大統領執務室に詰めかけた記者団を前に、トランプ氏が鉱物資源に関する合意を「非常に公平な取引だ」と評価すれば、ゼレンスキー氏も「ウクライナの安全の保証に向けた最初の一歩だ」と応じ、和やかな雰囲気で会談が進むと思われた。
 だが、バンス米副大統領が「平和への道は外交に取り組むことだ」と語ると、ゼレンスキー氏はロシア側が繰り返し合意を破ってきた経緯に触れ、対ロ接近を警告。バンス氏が反論し、部屋の空気が張り詰めた。
 ゼレンスキー氏が自身の考えを説明しようとすると、トランプ氏が話を遮り、ウクライナが米国の軍事支援を当てにして第3次世界大戦を引き起こす危険があると指摘。「無礼だ」とゼレンスキー氏の態度を非難した。険悪なムードのままやりとりは終了した。
 会談は、首脳間の非難の応酬で関係が悪化していた両国が「和解」を演出する狙いもあった。だが、合意文書の署名や共同記者会見は中止され、もくろみは大きく外れた。トランプ氏が描く停戦実現への道筋も軌道修正を迫られる。
 トランプ氏は会談後、「彼(ゼレンスキー氏)は和平したいと言うべきだ」と述べ、戦闘継続を望んでいるとゼレンスキー氏を非難。自身のSNS上では「平和の準備ができたら、戻って来られるだろう」と述べ、ゼレンスキー氏に考えを改めるよう迫った。
 一方、ゼレンスキー氏はFOXニュースとのインタビューで、ウクライナの国民が「誰よりも終結を望んでいる」と反論。停戦後にロシアが再侵攻する恐れがあると指摘し、米国によるウクライナへの「安全の保証」が必要だと改めて訴えた。
 ただ、会談決裂について問われると「正確に状況を理解してほしかっただけだ」と説明。関係修復は可能だとの認識を示したが、トランプ氏への謝罪は拒否しており、難航が予想される。 

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2月28日、ホワイトハウスに設けられた記者会見場(ロイター時事)
2月28日、ホワイトハウスに設けられた記者会見場(ロイター時事)

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