「アフリカの声」届かず=気候変動、重要資源問題で―G20 2025年02月28日 16時29分

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で開幕演説する南アフリカのラマポーザ大統領=26日、ケープタウン(AFP時事)
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で開幕演説する南アフリカのラマポーザ大統領=26日、ケープタウン(AFP時事)

 【ケープタウン時事】南アフリカ・ケープタウンで27日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、ラマポーザ同国大統領はアフリカ初のG20議長国として、気候変動対策や重要鉱物開発の在り方などを優先課題に挙げた。だが、気候を巡っては対立が垣間見え、資源に関しては議長総括にも盛り込まれず、「アフリカの声」が十分届いたとは言い難い。
 ラマポーザ氏はG20の開幕演説で、「エネルギー移行に向けた資金動員」について協議する必要性を表明した。だが、トランプ米政権は1月の発足直後から、再生可能エネルギー推進策の撤回にまい進。当初から合意形成の見込みは薄かった。ゴドングワーナ南ア財務相は閉幕記者会見で、各国間で見解の相違があった例として、「気候対策への資金調達」を指摘した。
 ラマポーザ氏はまた、重要資源の開発について「産出する国や地元が最も恩恵を受けなければならない」と強調した。南アを含めアフリカは、エネルギー需要増大や人工知能(AI)普及を支えるのに不可欠な鉱物資源が豊富だ。
 米国は安全保障の観点から重要鉱物確保に執心を見せる。特にハイテク製品の部材に使用されるレアアース(希土類)は中国が主要産地。同国は輸出規制を強化しており、米中摩擦の火種となりかねない。
 南ア大統領経済諮問委員会のメンバーであるケープタウン大学のボーラット教授は「ラマポーザ氏は重要鉱物やレアアースの分野で、緊張を高めるやり方ではなく、生産国との協調枠組みの必要性を主張している」と解説する。有力資源国でもある議長国南アの訴えが「分断」の加速する世界に届くのか、今後も困難が予想される。 

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