外食大手、生き残りへ新業態=牛丼はラーメンへ、買収も相次ぐ 2025年08月25日 05時09分

牛丼チェーンによるラーメン店への参入や、居酒屋大手のファストフード買収など、外食大手の新業態への挑戦が相次いでいる。背景には、原材料価格の高騰や、コロナ禍を契機とする飲み会需要の減少といった経営環境の変化がある。既存事業の成長余地が乏しくなる中、生き残りを懸けた新規顧客開拓が共通の課題となっている。
「松屋」を運営する松屋フーズは7月、ラーメン専門店「松太郎」の1号店を東京・新宿に開いた。しょうゆラーメンが1杯680円と手頃な価格で、近隣の会社員らの来店を見込む。同業の吉野家ホールディングスも地方のラーメン店を積極的に買収。少数の食材に依存する牛丼はコメ価格上昇などの影響を受けやすく、業態拡大でリスクを分散する狙いもある。
ファミリーレストラン「ガスト」などを展開するすかいらーくホールディングスは昨秋、北九州市発祥のうどんチェーン「資(すけ)さんうどん」の運営会社を買収。安価に提供できるうどん店の強みを生かし、低価格帯の品ぞろえを増やす。
居酒屋大手のワタミも昨秋、サンドイッチチェーン「SUBWAY(サブウェイ)」の日本法人を傘下に収めた。若年層を中心に「酒離れ」が進む中、「若者に人気のブランドにもう一度戻す」(渡辺美樹会長兼社長)のが狙いだ。
同じく居酒屋を祖業とし、焼き肉チェーン「牛角」などを展開するコロワイドは、高齢化に伴う需要増を見込み、19年に参入した医療・福祉施設向け給食事業の強化に取り組んでいる。野尻公平社長は「グループ内の外食ブランドとのコラボレーションなど、他の給食事業会社にはない優位性がある」と自信を示す。
デロイトトーマツ戦略研究所の中川朗主任研究員は、コロナ禍を経て消費者のニーズが大きく様変わりしたと指摘。「業態多角化の動きは過去にもあったが、近年は活発化している」と話す。
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