中国に対抗、先行き不透明=石破首相、日印関係深化図る 2025年08月29日 23時05分

石破茂首相は29日、インドのモディ首相を首相官邸に迎えて幅広い分野の協力を確認し、日印関係の深化を図った。インドと連携を強化し、威圧的な動きを強める中国に対抗するのが狙いだ。ただ、インドはトランプ米政権の高関税政策に反発し、中国にも接近しつつあり、先行きには不透明感も漂う。
「両国は6世紀の仏教伝来に始まり、文化的にも精神的にも影響を与え合う間柄にあった。(関係を)菩提(ぼだい)樹のように大きく育てる」。石破氏は29日夜、会談後の共同記者発表でこう強調。この後、住まいの公邸に移り、モディ氏を夕食でもてなした。30日にはインドが高速鉄道プロジェクトに技術を採用する新幹線に同乗して視察先の宮城県に向かい、親交を深める予定だ。
首相がモディ氏を厚遇した背景には、東・南シナ海を中心に覇権主義的な動きを強める中国の存在がある。日本はこれまで、米国とオーストラリアを含めた日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」の形成を主導し、「全方位外交」を進めるインドを引き寄せてきた。
外務省幹部は「今後もインドをつなぎ留める」と語り、首相官邸幹部は「今回は日印関係の近さと強さを国際社会に印象付けた」と強調した。
ただ、米国の関税措置に反発するインドは、長くくすぶる国境紛争などを脇に置いて、中国と間合いを詰めつつある。モディ氏は30日に宮城県の視察を終えた後、中国を約7年ぶりに訪問。31日に天津で開幕する上海協力機構(SCO)首脳会議に出席し、習近平国家主席と会談する予定だ。
インドと中国の接近について、日本政府内では「限定的な緊張緩和」(官邸幹部)と解説する向きが多い。外務省関係者は「インドは経済的に実利があると判断したのだろう」と分析。別の関係者は「インドの中国への警戒感は消えない」と指摘する。
とはいえ、モディ氏訪日直前の27日、米国はロシア産原油の購入を理由に対インド追加関税を50%に引き上げ、米印間の緊張はさらに高まった。モディ氏は中国でロシアのプーチン大統領とも会談するとみられ、日本政府は「どのような会談になるか注視する。印中ロが連携する事態になれば深刻だ」(外務省幹部)と緊張感を強めている。
会談後に記者会見したインドのミスリ外務次官は、米中両国との関係が日印首脳会談で議論になったか問われ、「焦点は日印2国間の協力だ。世界情勢も対象とはなるが、第三国との問題は議論していない」と深入りを避けた。