25年世界成長、3.0%に上げ=米関税率の低下受け―IMF 2025年07月29日 22時06分

国際通貨基金(IMF)本部=米ワシントン(AFP時事)
国際通貨基金(IMF)本部=米ワシントン(AFP時事)

 【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は29日発表した最新の世界経済見通しで、2025年の世界全体の成長率を3.0%と、4月の前回予測から0.2ポイント上方修正した。米国の関税率が、当初発表より低下することが背景。26年も3.1%と、0.1ポイント引き上げた。
 IMFは上方修正の理由として、米国の関税発動を控えた駆け込み的な貿易増加や、米関税率の想定を4月時点の24%程度から約17%へ引き下げたことに加え、ドル安進行による国際的な金融条件の緩和を挙げた。
 グランシャIMFチーフエコノミストは関税ショックが「当初の懸念ほど深刻ではないようだが、世界経済に打撃を及ぼしている」と警告。「世界経済へのリスクは依然下振れだ」と強調した。
 日本の成長率は25年が0.7%と、4月時点から0.1ポイント上方修正したが、26年は0.1ポイント引き下げ0.5%とした。25年のインフレ率は3.3%と予測。日銀の「緩やかな利上げ」を見込んだ。
 米国は25年が1.9%と、貿易交渉の結果として関税率が低下することを受けて0.1ポイント上方改定。26年も0.3ポイント上げ、2.0%とした。先日成立した大型減税関連法による企業投資の促進も反映した。
 中国の25年成長率は4.8%と、0.8ポイントの大幅な引き上げとなった。今年前半の景気が予想より強かったほか、米国が対中関税を大きく下げたことも成長を押し上げる。
 ユーロ圏の25年成長率は0.2ポイント上げ、1.0%とした。米関税引き上げを前に、アイルランド製医薬品の対米輸出が急増し、域内全体の成長を底上げする。 

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