ガザ情勢「悪化の一途」=イスラエル軍猛攻、物資欠乏―レバノン側でも応酬 2025年03月22日 19時32分

22日、イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区の漁港(AFP時事)
22日、イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区の漁港(AFP時事)

 【エルサレム時事】イスラエル軍は、21日夜から22日にかけてもパレスチナ自治区ガザの北部などに対する激しい攻撃を続けた。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、猛攻で住民が行き場を失う中、空爆、砲撃と同時に地上侵攻が行われていると報道。食料や医薬品も欠乏しており、「状況は悪化の一途をたどっている」と伝えた。
 地元保健当局によると、18日の大規模軍事作戦開始以降の死者は630人を超えた。過去48時間の死者は130人に達した。
 イスラエルは今月2日、イスラム組織ハマスに人質を解放するよう圧力をかけることなどを目的に、ガザへの人道支援物資搬入を停止した。食糧供給の不足が次第に深刻化し、現在は「子供に1回分の食事を確保することさえできない」(アルジャジーラ)状況だ。
 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザで満足に機能している病院は皆無だ。攻撃が続く中で、かろうじて一部の機能を維持している病院や仮設診療所に負傷者が次々運び込まれるが、医薬品が足りず、対応しきれない状態だ。
 一方、イスラエル北部の対レバノン国境地帯には22日、レバノン側からロケット弾複数発が撃ち込まれた。軍がロケット弾を迎撃し、負傷者が出たとの情報はない。同国からの攻撃は、18日のガザでの作戦開始以降初めて。
 イスラエル軍は声明で「厳しく報復する」と指摘。レバノン南部にあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点を攻撃した。報道によると、同国のサラーム首相は「新たな戦争に引きずり込まれる」恐れがあると懸念を示した。ヒズボラは声明で、ロケット弾発射への関与を否定した。
 イスラエルは昨年11月、ハマスと連帯するヒズボラと停戦したが、なし崩し的に戦闘が激化していく恐れもある。 

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